入間市博物館ALIT 茶室「青丘庵」
いるましはくぶつかんありっと ちゃしつせいきゅうあん
日本における茶の栽培の歴史は、最澄をはじめとする遣唐使たちが中国から茶の種を持ち帰った平安時代にさかのぼります。狭山茶の栽培は中世に武蔵国の河越(川越)や慈光寺(ときかわ町)で始まったと考えられ、江戸時代に蒸し製煎茶の製造が本格化すると、京都(宇治)、静岡と並ぶ名産地として歴史を重ねてきました。県西部の入間市、所沢市、狭山市を中心とする狭山丘陵をとり囲む武蔵野台地が主産地で、なかでも入間市は埼玉県全体の約6割という生産量を誇ります。入間市博物館ALIT はそんな一大産地ならではの「お茶」をメインテーマとする施設です。
県下有数の広大な茶畑が広がる金子台の南に位置し、敷地はハケ(崖線)をまたいで上下2段に分かれています。その高低差は大きく、本館とレストランのある上段と、茶室「青丘庵」のある下段では、景色も趣を異にしています。
雑木林を背に、池のある庭に面して立つ茶室「青丘庵」は、多くの人に茶道を身近に楽しんでもらう体験施設として平成7年(1995)6月にオープンしました。庭に面して12.5畳と8畳の広間が並び、襖をはずせば多人数の茶会も開けます。また廊下の奥には水屋を備えた風雅な茶室があります。どの部屋でも炭手前ができ、備え付けの茶道具は無料で借りられます(炭、柄杓、茶筅などの消耗品をのぞく)。
入間市博物館ALIT本館の展示も見応えがあります。水色、味共に濃厚な狭山茶を生み出す入間の風土と製茶技術についての解説は興味深く、また茶道と煎茶道を紹介するコーナーでは、日本独自に発達した、世界に誇る精神文化に迫る展示が見ものです。土・日曜と祝日の11時と13時30分には解説員による展示解説もおこなわれています(所要約45分)。
「青丘庵」の名は、紀元前の中国で理想郷を呼んだ雅称に由来しています。
宮大工が建てた三畳台目中板の席(写真上)。露地と寄付待合(写真中)、にじり口があります(写真下)。
鯉が泳ぐ池には縁台が張り出しています。ここで野点を企画することもあるそうです。
干菓子は市内の菓子店「利久庵」の稲穂とうすもみじ。器は先代村瀬治兵衛の作。備え付けの貸出茶道具は一点前分を基準としており、本館閲覧室にある所蔵品リストから選べます。
要望に応じて茶懐石の道具一式も貸し出しています。申し込み時にご相談ください。
2階建ての本館は平成6年(1994)に開館しました。春はエントランスのソメイヨシノ並木が咲き誇ります。
本館1階「お茶の文化」コーナーの「利休の茶室」。大坂夏の陣で焼け落ちてしまった幻の二畳を、当時の茶会記等を参考に復元しました。黒田正玄の竹花入など茶道具は利休好みでそろえています。
煎茶道のコーナーには名工の手になる道具が展示され、その存在感に圧倒されます。写真は田能村竹田作「鹿摘四方水注」。
県下一の狭山茶の栽培地、武蔵野台地の金子台の風景。見渡すかぎり茶畑が広がっています。
所在地 | 埼玉県入間市二本木100 |
TEL | 04-2934-7711 |
FAX | 04-2934-7716 |
開館時間 | 9:00〜17:00(入館は16:30まで) |
茶室「青丘庵」利用時間と料金 | 9:00〜12:00は2100円、 13:00〜17:00は2800円、 17:30〜21:30は2800円、 全日は7700円(いずれも1席の金額) |
休館日 | 月曜・第4火曜(祝日の場合は開館、翌日休)、年末年始 |
アクセス | 西武池袋線「入間市駅」南口から西武バス入間市博物館行きで20分、終点下車。 または同駅から西武バス二本木地蔵前行き、箱根ヶ崎駅行きで「二本木」下車、徒歩5分 |