宗澄庵
三畳台目下座床
昭和5年(1930)4月19日落成。山澄静齋が亡父・宗澄追福のために寄進しました。わずか20日間で急造させ、「庚午大師会」前日の夕方に完成しました。菊の御紋に唐草の古瓦をいただく有栖川宮御下賜の御門は、両袖に土塀を連ねる重厚な構えをしています。露地には奥行きがあり、化生庵や月窓軒のような護国寺の他の茶室とは露地の趣が異なります。角型の手水鉢は四方に梵字が刻まれており、春日型の石灯籠が脇に建ちます。
茶室内部では、躙口側面の下地窓の力竹が窓の部分だけに添えられる珍しい構造をしています。さらに床柱付に火燈の給仕口をあけず、茶道口と給仕口を一緒にして二枚襖の引違いとしているところも特徴的で、開ける襖の違いで茶道口と給仕口を使い分けします。躙口上に配した横長の下地窓は、圓成庵などと同じ左右に開くシンメトリー形式で、護国寺の茶室に多く見られます。躙口を入った左側に設けられた付書院は拝見台としても便利に使えます。侘びの構成のなかに特異な工夫がなされています。
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形状 三畳台目下座床 |
天井 客座上:掛込天井 点前座上:蒲の落天井 |
中柱 栗晒シ 径2寸(6cm)、釣棚有 一重 高さ1.8尺(54.5cm) |
炉 本勝手中柱台目切 |
床柱 杉磨丸太 |
床框 時代杉面付 |
床の間 落掛から畳までの高さ5.16尺(156.4cm) |
茶道口 高さ5.2尺(157.8cm) 間口5.25尺(159.1cm) 太鼓襖二本建て |
躙口 高さ2.3尺(69.7cm) 間口2.1尺(63.6cm) |
その他 付書院:高さ8.8寸(26.7cm)・ 間口4.75尺(143.9cm)・下は物入として使用、 無双釘有、花釘有、花蛭釘有、釜蛭釘有 袖壁吹抜高さ2.12尺(64.2cm) |