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炭ギャラリー 増田屋

すみぎゃらりー ますだや

人と環境にやさしいエコロジカルな
「木炭」をもっと身近に


大田区久が原に本社を置く増田屋は1935年(昭和10)創業の炭専門問屋です。かつては炊事や暖房用に広く消費されていた木炭ですが、戦後の高度成長期になると電気、ガス、灯油などに取って代わられ、消費量は激減しました。
そうした時代の変化に直面しながらも、増田屋は日本各地の窯元との取引を続け、国産木炭の生産現場を支えてきました。
なかでも創業時からこだわりを持ちつづけてきたのが「茶の湯炭」です。増田屋の茶の湯炭はすべてクヌギの樹を材料とするくぬぎ炭。窯元から仕入れて自社工場で厳選し、炉用・風炉用など用途別に太さや長さを揃え、丁寧に箱詰めして提供しています。


茶の湯炭のほかにも、国内各産地の備長炭(土佐、紀州ほか)、国外産の備長炭(中国、ラオスなど)、国内各地産の黒炭(岩手のなら切炭・栃木のくぬぎ炭など)、国内外産のオガ炭まで、あらゆる種類の木炭を扱い、その品質と安定した供給体制には定評があります。

 

また増田屋では1990年代より、燃料用だけでなく木炭の持つ効用を生かした炭製品の開発も進めてきました。備長炭の粉末を使った石鹸やヘアブラシ、歯ブラシなどの生活雑貨は、国内でもいち早く商品化を進めた増田屋の定番商品です。

 


くぬぎ炭にカポックなどの観葉植物を植えた「炭花壇」も増田屋オリジナルの商品です。室内の空気浄化も兼ねたグリーンインテリアとして人気上昇中。

 



これら増田屋が扱う木炭と炭製品を実際に見て購入もできるのが本社敷地内にある「炭ギャラリー」です。木炭に関するさまざまな情報を提供し、新しい炭文化を発信する展示施設を目指して2000年(平成12)に開設しました。

 



木造アパートの一室を改築した「炭ギャラリー」の床下には調湿用備長炭が敷かれ、壁と天井には備長炭シートを入れています。湿気やにおい、有害物質を吸収する炭の効用を実感できるモデルルームでもあり、実際に室内はいつもすがすがしい空気に満ちています。

 


増田屋3代目社長・増田剛さんは炭焼きの歴史、炭の有効利用の研究を続けてきました。「日本の炭焼きは、間伐しながら森林を維持・管理する『里山』という循環サイクルの中で発展してきました。長い時間をかけて育まれてきた、自然を利用する先人の知恵です。里山が機能しなくなると、森林は荒れ、炭焼きにも大きな影響が及びます」実際に今、人手不足や高齢化などで日本の里山は失われつつあり、このままでは国内の炭の生産は維持できなくなるかもしれないと増田さんは憂慮しています。


最近の国内の生産量を見ると、たとえば岩手県の黒炭生産量は2019年は2347.6トンでしたが、2023年には1379トンと大きく減少しています。かなり深刻な数字です。「自然にあるものだけから作られる木炭は、人と環境にやさしい存在です。木炭に興味を持ち、レジャーなど暮らしに取り入れていただくことは、日本の山や自然環境を守ることにつながります」
増田屋では火鉢道具、七輪・コンロ、BBQ・キャンプギアなど関連商品も豊富に扱っており、HPから購入できます。

https://masudaya.shop

増田剛さんは2024年(令和6)に「東京都燃料商業組合」副理事長に就任しました。木炭をはじめ灯油、LPガス、薪など「固形燃料」を商う会社で構成されている組合の喫緊の課題は、電気と都市ガスという巨大インフラに押され需要が減っている現状への対応です。増田さんはこれまで以上に視野を広げ、組合員同士で協力し合いながら固形燃料の特性とメリットをもっとアピールしていきたいと考えています。備蓄ができ、人の手で扱える固形燃料は、電気やガスが使えなくなった災害時のエネルギー源として大いに役立つことは、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震で実証されています。増田屋では環境炭(リサイクル炭)を使った家庭用「非常用燃料セット」という商品も開発しました。

https://masudaya.shop/products/e-510

増田さんは、次世代の子どもたちに炭のことを知ってもらい、その使い方を指導する「火育(ひいく)」にも取り組みたいと話します。自分で熾した炭を使って調理すれば、「食育」にもつながります。「森林を乱伐しない『里山』は、世界に誇れる環境保全サイクルです。そしてそこで作られる木炭が日本の茶の湯文化を支えてきました。これからも誇りをもって木炭の生産を支え、良質な商品をご提供していきたいと思います」

 

炭ギャラリー 増田屋
https://www.masudaya.co.jp/company/gallery.html

株式会社増田屋
https://www.masudaya.co.jp/company.html

所在地 東京都大田区久が原2-5-3
TEL 03-3755-3181(代)
開館時間 9:00〜17:30
休館日 日曜・祝日
アクセス

東急池上線「久が原駅」から徒歩1分

こちらもご覧ください。大学生による月釜体験レポート

大学生による体験レポート増田屋「炭ギャラリー」へ伺いました。