有職組紐 道明
ゆうそくくみひも どうみょう
何本もの糸を組み合わせて1本の紐を作る組紐。その発祥は紀元前の中央アジアに遡り、日本には1400年以上前の飛鳥・奈良時代に中国・朝鮮を経て仏教とともに伝わりました。経典や袈裟の飾り紐、貴族の礼服の帯、武士の鎧・兜の縅(おど)し糸、刀の下げ緒や柄糸(つかいと)と、時代とともにその用途は変遷し、江戸時代中期以降は帯締や羽織紐などが広く庶民に普及しました。
「有職組紐 道明」は、江戸時代初期の1652年(承応元)に上野池之端で糸商として創業して以来、組紐づくりを生業とする老舗です。明治維新後は帯締の専門店となり、やがて訪れた機械による量産という時代の流れに乗ることなく職人的手仕事を守りました。今も自社職人による手染め・手組みですべての組紐を製作しており、後進の職人の育成にも余念がありません。また、長年にわたり正倉院や各地の古社寺が所蔵する組紐の歴史的名品の調査研究と復元模造に取り組み、失われていた多くの技術を解明して自社製品に取り入れてきました。
常時500種類ほどの帯締が並ぶ店内は、柔らかくも心地よい色彩にあふれています。日本の伝統色を基にした約180種類の「道明の色」糸と、数十種類に及ぶ組み方の組み合わせから生まれる柄のバリエーションはまさに無限。優しく手になじむ伸縮性と、美しい絹の光沢が楽しめるのも手組ならではです。道明では組紐の伝承と発展を願い、50年前から全国で「組紐教室」を開いているほか、ストラップやブレスレットを作る初心者向けの「体験教室」を開催しています。ぜひ奥深い組紐の世界をのぞいてみてください。
コンクリート打ちっぱなしの外壁が斬新な5階建ての新本店は2016年に竣工しました。染場、デザイン室、作業室、そして1階の店舗と、製造から販売まで組紐のすべてがぎゅっと詰まっています。
上は冠組の帯締3種。中央の「唐衣」は古くからある道明の名物柄の一つで、段染めを用いています。下は高麗組の帯締3種。
道明では毎月数種類の新作を発表しており、すべて社員たちが考案しています。写真は6月の新作で、鎌倉組(上)と御岳組(下)。
2015年に立ち上げた洋装部門ではネクタイやイヤリング、ブレスレットなどを製作。写真のネクタイは安田組で作られています。初夏向けの色合いが爽やか。
伝統的な組み方を生かしたイヤリングの美しさも格別です。手前右は地内記組と奈良組の組紐をつなぎ合わせて大ぶりに、手前左は正倉院御物に見られる笹波組と角八つ組の組紐を使い、房をつけて華やかさを演出しました。
道明の宝物ともいえる復元組紐各種。宗教や文化と密接に関わっていた時代の組紐の姿が蘇りました。上は手前から順に、中尊寺秀衡棺中の組紐、四天王寺懸守の吊紐、知恩院善導大師像胎内納入五臓の組紐、箜篌(くご)の紐、正倉院組帯。下は平安時代の宮中装束である「平緒(ひらお)」。貴族が大刀を下げるために用いました。
糸を染める染料は7種類。配合と濃度の調整はすべて目分量で、まさに経験と勘がものをいう職人技です。入社9年目の小林さんが染めているのは「山藍摺(やまあいずり)」。緑・黄・茶の3色からこの色が生まれます。
組み方に応じて組み台も変わります。上は目の細かい平組を組む事に適した「高台」、下は正方形または長方形・断面の角組を組むことに適した「丸台」です。このほか織物に近い構造の紐を組む「綾竹台」、組み上げ式で組む「角台」などがあります。
たとえば透明な糸など、絹ではない異素材の糸で組紐を作ってみたいですねと話す10代目当主・道明葵一郎さん。「古代から伝わる技術を継承するとともに、さらに改良し、発展させていくことが、組紐の第一人者としての弊社の使命と考えています」
※組紐教室、体験教室は下記サイトをご参照ください。
和装部門公式ホームページ内 https://www.kdomyo.com/school.html
インスタグラム https://www.instagram.com/domyo_school1967/
【和装部門】
公式ホームページ http://www.kdomyo.com/
オンラインストア https://kdomyo.buyshop.jp/
インスタグラム https://www.instagram.com/domyo_kumihimo/
【洋装部門】
公式ホームページ https://domyo.co.jp/
オンラインストア https://domyo.buyshop.jp
インスタグラム https://www.instagram.com/domyo_1652/
住所 | 東京都台東区上野2-11-1 |
TEL | 03-3831-3773 |
FAX | 03-3831-7978 |
営業時間 | 月曜〜土曜10:30〜18:30 日曜・祝日10:30〜17:00 |
定休日 | 無休 |
アクセス | 東京メトロ千代田線「湯島駅」2出口から徒歩4分 銀座線「上野広小路駅」または都営地下鉄大江戸線「上野御徒町駅」A3出口から徒歩5分 |