月釜・茶会

ジャンルで探す

注目! 地図で探す
買う 食べる 泊まる 体験する 見る 抹茶をいただく 月釜 美術館 お茶の旧跡 お寺・神社

竹楽会 池田瓢阿

ちくらくかい いけだひょうあ

名物籠の写しは、初代から受け継いできた家業の基本。
形だけでなく作者の心まで写す、創造的な仕事を大切にしています。

竹芸家の池田瓢阿さんは昭和26年(1951)生まれ。幼少より茶の湯に親しみ、親の仕事を見ながら育ちました。武蔵野美術大学でプロダクトデザインを学び、卒業と同時にこの道に入りました。写し物の名人と謳われた父、二代・瓢阿の元で修業を重ね、42歳で三代・瓢阿を襲名しました。茶席の籠花入を作らせたら右に出る者はないとその評価は高く、また竹花入、茶杓なども得意としオリジナル作品も精力的に発表しています。

池田瓢阿家の歴史は、近代の大茶人・益田鈍翁専属の籠師だった初代・善太郎さんに始まります。明治14年(1881)に元紀州田辺藩士の家に生まれた善太郎さんは、漢文の教師から180度方向転換して証券界で活躍。その傍ら浄瑠璃、画作、楽焼、茶道を愉しみ、なかでも籠づくりは素人の域を超えるまで打ち込みました。縁あって益田鈍翁所持の「唐物瓢簞籠花入」を写したところ、翁に気に入られて「瓢阿」の雅号を授かり、再び人生を方向転換して職人になりましたが、昭和8年(1933)に急逝。瓢阿の名は19歳だった息子の英之助さんが継ぎました。油絵画家になる夢を諦めて籠師になった青年に対して鈍翁は、自分が所有する名籠はもちろん各界の名士が持つ名品も見られるように計らうから、それらを写してよく勉強し、基礎を固めるようにと励ましてくれたそうです。

制作に加えて籠と茶杓の研究を重ね、執筆や講演など多方面に活躍した二代は、生涯に20冊ほどの著書を残しました。三代・瓢阿さんも『籠花入と竹花入』『近代の茶杓』『籠と竹のよもやまばなし』(いずれも淡交社刊)などの著作がある籠と茶杓研究の第一人者です。学究肌と文筆の才は、池田瓢阿家の伝統といえそうです。また二代は、昭和28年(1953)にお茶人たちのための竹芸教室「竹樂会」を創立。出稽古のほか、日本最初のカルチャーセンター産経学園で教室を持ちました。今は淡交カルチャー、朝日カルチャーセンター、NHKカルチャーに場を移し、三代・瓢阿さんと息子の泰輔さんが講師を務めています。


唐物七宝編唐人笠籠花入写 瓢阿作
唐物とは中国伝来の意味。500年ほど昔の明時代の大型の花籠の写しです。光に透ける七宝編の編み目が美しい。


唐物脛当南京玉入霊昭女(れいしょうじょ)籠花入写 瓢阿作
霊昭女は唐代の在家の禅僧・龐居士の娘で、父の作った籠を町で売って生計を助けたというエピソードから水墨画などの主題として好まれました。明時代の花籠のなかで「霊昭女が手に持つような形」をした籠をこう呼ぶようになりました。


仙叟好(せんそうごのみ)置籠花入写 瓢阿作
400年ほど前に作られた裏千家四代・仙叟の好み物の写し。


玄々斎好(げんげんさいごのみ)末広籠花入写 泰輔作
末広籠は受け筒を切り箔で装飾するのが約束。マダケの白竹で編まれています。


「即興の籠」 泰輔作
マダケの白竹を縦横に編み上げた作品は、父と同じく、幼少より茶の湯と籠造りに親しんできた泰輔さんの新作。今年8月に柿傳ギャラリーで開いた個展に出品しました。


臥籠(ふせご) 泰輔作
飴色が美しいマダケで編んだ、珍しい籠地の涼げな香合。


白竹一重切(いちじゅうぎり)竹花入 銘「喝」 瓢阿作
自粛期間中に作った新作。銘にはコロナに「勝つ」祈りを込めました。


茶杓 銘「閑坐」 瓢阿作
土中の細菌の作用によって変色したマダケの浸竹(しみだけ)を削りました。櫂先は剣先型です。


アトリエ2階の茶室にて、三代・瓢阿さんと息子の泰輔さん。泰輔さんは武蔵野美術大学日本画学科を卒業後、父に師事。異分野の若手作家たちと組んだ創作にも挑戦しています。




瓢阿さんが茶杓を削る最初の工程を見せてくれました。材は200年昔の煤竹です。裏側につけた印にそって両端や裏を削ります(上)。茶杓の顔ともいえる櫂先は慎重に削ります(中)。左側をわずかに急角度に削り落とした利休型の櫂先です(下)。




茶杓の裏側の削り跡にも作り手の個性が出るそうです(上)。竹茶杓のかなめとなる節裏を丁寧に削り込みます(中)。直腰(すぐごし)の茶杓の形に整いました(下)。

 

竹楽会 池田瓢阿
http://www.ikedahyoa.com

*作品は展覧会のほか、以下のギャラリーでご購入いただけます。アトリエの見学は受け付けていません。

所在地 東京都三鷹市井の頭3-12-10(アトリエ)
TEL 0422-44-2691

日本橋三越 本館6階美術特選画廊
http://www.mitsukoshi.co.jp/store/1010/art/
日本橋高島屋 6階美術画廊
http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/event3/
柿傳ギャラリー
https://www.kakiden.com/gallery/

*竹樂会主催の教室
【NHKカルチャー青山教室】
「池田瓢阿の竹芸教室 茶道具コース」
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_443896.html
「池田瓢阿の竹芸教室 自由科コース」
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_443897.html
「池田瓢阿の茶杓教室」
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_443898.html

【朝日カルチャーセンター新宿教室】
「茶の湯の竹芸」
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/2de7d7ab-a589-2b7e-a825-5d245b473c13

【淡交カルチャー教室 東京教室】
「茶の湯 竹芸教室」
https://www.tankosha.co.jp/culture/2016/05/post-60.html