月釜・茶会

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大学生による体験レポート 月釜正芳庵茶会

文・立教大学茶道部3年 細川夏佳

 


東京都・新宿区にあります茶道具屋の益田屋さんのお茶室、正芳庵で開催された月釜に参加させて頂きました。JR山手線新大久保駅から徒歩5分ほど、たくさんの人で賑わうコリアンストリートを抜け、少し人通りが少なくなったところに、益田屋さんのお茶室がありました。


お茶室の中に入ると、本格的な夏の到来を感じさせるまばゆい陽の光がお茶室内を照らしていました。点前座は炉が切ってある畳より1畳分手前のところにあり、お部屋の中は空調が効いており過ごしやすい気温で、このような細かいところにも亭主の心遣いを感じました。

今回は益田有希子さんと、四人姉妹のお父様である益田芳徳氏の作品展の開催を記念して行われたお茶会でした。花入や水指、結界などにガラスの作品がふんだんに使われていました。ガラスでできた結界を見たのは初めてでしたが、氷のようにひんやりとした雰囲気がとても印象的でした。益田芳徳氏の制作した硯は、平成13年(2001)にヨハネ・パウロ2世教皇聖下(バチカン美術館)に謹呈されており、それと似た作品が床の横に飾られていました。


軸は「杓座一残水」、鵬雲斎大宗匠のお筆でした。曹洞宗の開祖・道元禅師が、仏前に供える水を川から汲み、残った水を川に戻しており、弟子が「川の水は豊富にあるので捨ててしまえばよいのでは」と尋ねたところ、「掬った水を一滴もむやみに捨てず川に戻すことで、下流の人々や後世の人々に水を残すことができる」と言ったというお話があるそうです。私たちの生活は、たくさんのもので溢れています。インターネットを使えば世界中から物を取り寄せることができ、水や電気も使いたいだけ使う事ができます。しかし、地球にある資源は当たり前にあるものではなく、地球に住む全ての人々、動物や植物が互いに影響を及ぼしながら生きています。そうした目には見えない他者や自然との繋がりに思いを馳せ、大切にしていきたいと思いました。


お道具にも水にまつわるものが多く選ばれていました。お棗はしめ縄がぐるりと一周しているデザインの大棗でした。茶杓は銘・白適々、一点の曇りもない、という意味の言葉だそうです。金属製で、曲線的なラインが美しく、光をキラキラと反射しているようすが印象に残っています。


お菓子は「鮎魚籠」、三原屋製でした。ゼリーで表現された池に鮎が泳いでいる涼しげなお菓子で、とても美味しかったです。お茶もあたたかさと同時にスッキリとした口当たりでさわやかな飲み心地でした。

お茶会の最後に亭主の方が水次から水指に注ぐ様子が、深い青色のガラスとあいまって、とても美しかったです。

参加費が1200円とお手軽で、お道具の取り合わせやお茶室の設えから涼しさをたくさん感じられるお茶会でした。ご一緒したお客様には、お友達同士の方も、おひとりの方もいらっしゃって、気軽に参加できる雰囲気でした。益田屋さんでは毎月月釜を、開催しているとのことですので、ぜひ皆様も参加されてみてはいかがでしょうか。

 

茶和益田屋

https://www.masuda-ya.co.jp
https://www.chawamasudaya.jp   オンラインショップ

所在地 東京都新宿区百人町2-20-17 2階,3階
TEL 03-3362-3281
FAX 03-3367-0948
営業時間 11001800 日曜休・他 臨時休業有
※現在はコロナ対応のため、17:00閉店(日曜・祝 休、他臨時休業有)
アクセス

JR山手線「新大久保駅」徒歩
JR総武線「大久保駅」北口徒歩