月釜・茶会

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大学生による体験レポート 一二三会

文・立教大学茶道部3年 細川夏佳

 


今回は東京都文京区・護国寺裏にございます一二三会さんの茶道教室にお伺いしました。大通りから少し入った住宅や小さなビルの並んだ穏やかな街の中に一二三会さんのお教室が見えてきます。冬の澄んだ光がさすガラスの扉の向こうには実際のお稽古場が見られます。

立礼のお稽古場である洋室と八畳の広間、三畳台目の小間の3部屋を見せていただきました。

 


立礼のお稽古場には、楽譜が飾られていました。グレゴリオ聖歌の楽譜だそうで、お弟子さん がお書きになった歌詞カードがありました。クリスマスの飾りで華やかに彩られた外の街の空気を残しながらも、上品で落ち着いた茶室に向かう、気持ちが整うような空間でした。

 


今回は八畳の広間でのお稽古を見せていただきました。もともとこの建物のオーナーが銘木屋で、商材のショールームとして奥に見えている三畳台目の小間の茶室があります。床には、ここで茶道を教える久保先生が今年の初釜に参加した際に、くじ引きで当選した書を飾っていらっしゃいました。くじは当たる方でいらっしゃるのですか、とお聞きすると「私、意外とあたるほうかもしれません」と顔をほころばしていらっしゃいました。そこに花月のお稽古ができるようにと八畳のお稽古場を増設したそうです。特徴的な質感や曲線を持つ木材や竹材から、このお稽古場にしかない味や歴史を感じられました。
午前10時からお稽古の準備が始まりました。広間の左手側の壁際に水屋があり、さまざまなお稽古道具が並んでいるのが見えました。戸棚や水屋の木の床を外したところに、水指や茶碗、火おこしの道具がコンパクトに無駄なく並んでいました。興味深く拝見していると、久保先生は「私、こういうのが好きなのかもしれません」と笑顔を見せていました。どこに何を置くのかを決めてその通りに置くことで、より多くの道具を収納でき、手早く準備ができる……そのようなこだわりを感じる空間でした。

 


準備が終わるとお稽古が始まりました。私が見せていただいたのは薄茶、杉棚のお点前でした。お稽古が始まると和やかな雰囲気から緊張感のある雰囲気へと変わりました。お点前の動作の中で気をつけるポイントを、流れに合わせて指導していらっしゃいました。私もお茶とお菓子を頂きました。お菓子は紅葉の流れる川をイメージした練りきりでした。お茶も炭で起こした熱い湯で点てられ、とてもおいしく頂戴しました。
準備とお稽古の様子を見せていただき、無駄のないお稽古場を整え、程よい緊張感の中でお稽古する、ということが言葉では書ききれないほどの工夫や経験から成り立っているということを垣間見ることができました。久保先生からは取材の最後に「お若いうちは基礎を大事にお稽古なさってください。その時間が大事なものだったとわかる日がきます」というお話をしていただきました。今後も、所作のひとつひとつの意味や見え方を考えながらお稽古を重ね、その時間や経験を大切にしていきたいと思います。
取材に協力してくださった一二三会・久保先生と社中のみなさま、本当にありがとうございました。

 

一二三会
https://123kai.org
入門前の見学可。月に1回、体験茶会を行っています。
詳細はお問い合わせください。

所在地 東京都文京区大塚5-41-6
メールアドレス entry@123kai.org
アクセス 東京メトロ有楽町線「東池袋駅」または都電荒川線「東池袋四丁目停留所」から徒歩6分/東京メトロ有楽町線「護国寺駅」から徒歩9分