裏千家 鳥居宗富 茶道教室
うらせんけ とりいそうふ ちゃどうきょうしつ
テーブルを使い、椅子に座ってお茶を点てる立礼は、明治時代の初めに裏千家十一代玄々斎宗匠(1810〜1877)が考案した呈茶の作法です。正座になれていない外国人にお茶を出すための、新しい工夫でした。しかし時は流れ、現代の日本人の生活様式はすっかり洋風化し、畳の部屋で暮らすことは少なくなりました。正座そのものが、当時の外国人と同じくらい縁遠いものになってしまったといえるかもしれません。
江戸川にほど近い葛飾区金町で、長く座礼でお茶を教えてきた鳥居宗富先生は、15年前に同じ金町に自宅を新築したことをきっかけに、立礼式の茶道教室を始めました。「お茶に興味があっても、正座ができないからという理由で教室の扉をたたくことをためらう人は多いはず。立礼であれば、そうした心配はいりません」。立礼でお茶を学ぶ人が増えれば茶道の裾野が広がり、その楽しさ、素晴らしさを後世に伝えていける。それが希望ですと鳥居先生は語ります。
茶道教室は第2・4水曜日と第1・3木曜日の14時〜20時に開いており、会費は1回3,000円(学生は1,500円)。月に何回でも、都合のよい時間に受講できるとあって、夜は仕事帰りの男性会社員の姿も。また、全国各地から取り寄せる名菓と、鳥居先生所蔵の名碗で抹茶がいただける体験教室(予約制)は、雑事を忘れてリラックスできると好評です。詳しくはホームページをご覧ください。
今年(令和4年)は、鳥居先生がお茶の道に入って50年の節目の年。そして沖縄の本土復帰50周年でもあることから、この日の道具は「沖縄」がテーマです。朱漆(あかうるし)と黒漆を塗り分けた水指は沖縄で作られた現代物。琉球王国を象徴する螺鈿細工が施されています。正面を向いた龍は、中国の明代後期ごろから皇帝の使用するものだけに使われた文様。その下の「左三つ巴紋」は琉球王国国王尚家の家紋です。
琉球王朝時代に王族が使用していた中国の茶碗。10金製の口縁と高台、ぐるりと巡らせた雷文と色鮮やかな龍の意匠がお茶席に華を添えます。東南アジアの工人の技が楽しめる白蝶貝のスプーンを茶杓に、大理石の小壺を茶入に見立てました。
高橋敬典作の富士釜。鐶付は松の実、つまみは菊透かし。立礼棚の波形模様が富士山にかかる雲のようにも見えます。
八畳の京間の茶室は、立礼のテーブルと椅子を置いてもゆとりのある広さ。穏やかでやさしい造りです。
にじり口の内(写真上)と外(写真下)。
きものコンサルタントでもある鳥居宗富先生。自然な着こなしが素敵です。掛け軸は薬師寺管主(現在は長老)山田法胤師の揮毫で「心は工(たくみ)なる絵師の如し」(心の持ち方ひとつで世の中の見え方はまるで変化する、の意)。花はススキ、ミソハギ、コスモス、クジャクソウ、ツユクサ。
コナラの木立がほどよい陰影をつくる露地は、京都の庭師が設計しました。軽井沢の雰囲気が味わえる雑木林にしたかったの、と先生。飛石の代わりに廃線路の枕木を並べたところにも避暑地のイメージが。
平成30年(2018)10月、鳥居社中は東京大学本郷キャンパスの一角にある懐徳館(旧加賀藩主前田氏本郷本邸)で開催されたお茶会を担当。200枚用意したお茶券は2時間で完売と大人気でした。写真下は六畳江戸間の茶室における茶席の様子。テーマ「加賀」に沿った道具を用意し、金沢のお菓子をお出ししました。
令和元年(2019)12月、外務省飯倉公館で開催された、駐日外交団などに地方の魅力を発信する外務大臣と地方自治体首長共催のレセプションにおいて、鳥居社中は奈良県国際課の要請で呈茶を行いました。正倉院校倉造りを模した立礼棚を用意し、大和茶を挽いた抹茶を在日大使の方々にふるまいました。
大学生による鳥居宗富先生の茶道教室体験レポートはこちら
所在地 | 東京都葛飾区金町3-26-1 |
TEL | 03-3826-6090 |
FAX | 03-3826-6092 |
アクセス | JR常磐線「金町駅」南口または京成金町線「金町駅」から徒歩10分 |