離岸の露地
小田急線経堂駅からほど近い「離岸」は2022年(令和4)にオープンした茶室を併設するギャラリーです。入り口から右手へ建物を回り込む園路が設けられており、その奥に茶室と露地があります。
導かれた先に待つのは、石正園の平井孝幸さんが手掛けた「雑木の庭」。下枝を払われて屋根より上に樹冠を広げたアオダモ、サワラなどの雑木と、冬でも緑鮮やかなヒサカキなどの常緑小高木とシダが寄り添う石組はここが街中であることを忘れさせてくれます。オーナーが京都へ足を運び選んだ第一級の材料で造られた京間四畳半の茶室では、月釜のほか呈茶(要予約)も行われています。
つくばいの左に置かれた役石は燈籠の中台だった石。蓮の花が刻まれています。蛭川錆石(岐阜県恵那郡蛭川産)の燈籠は今は亡き岡崎の名人の作品。
腰掛待合から露地を眺める平井さん。「ここは作庭の限界に近い狭さですが、それを感じないでしょう? 雑木の幹越しに眺めると実際より距離があるように見えるんです」
露地へ導く園路に使われている見慣れない形をした陶器。これは第二次世界大戦の終末期に埼玉の川原に廃棄されていた陶器製手榴弾で、ギャラリーオーナーの収集品です。平井さんは思案の末、古材の御影石に虫喰い風に使用して景色としました。
ギャラリーでは主に全国の現代作家の食器・酒器・茶陶などを展示販売しています。