現代陶芸ギャラリー「窯と土」 が注目する
作家 金宗勲
主にインターネットを中心とした現代陶芸ギャラリー「窯と土」を運営されている森一馬さんは、自分の目にかなった陶芸家の作品を、茶碗を中心に扱われている。そのウェブページを見ると、さながら茶碗を手にとって見ているような感じに工夫され、360度回して見たり、ディテールまでアップすることができるよう、ネットユーザーの視点によりそった新しい試みも行っている。
そんな森さんが今一番注目している作家が金宗勲(キムジョンフン)さんだ。初めて金さんの作品を手に取った瞬間、本歌の井戸茶碗がそこにある!と衝撃を受けたと森さんは言う。
金さんは韓国の大学で陶芸を学んだ時、特別に井戸茶碗に惹かれ、より深く井戸茶碗について学ぶため日本に何度も訪れ、多くの井戸茶碗を見て独自に研究し、一心不乱に作陶した。同じく陶芸家である奥様のご縁で京都に繋がりを持ち、今でも毎年何度か京都を訪れている。また日本に伝世した井戸茶碗の背景にある茶道をインサードンにある裏千家道場で、韓国で初めて裏千家学園を出られた先生のもとで学び、陶工と茶人、武士の関係など、外国である日本で重要視され用いられてきた井戸茶碗の本質に迫るべく努力している。
森さんが金さんの作品に触れてまず感じたことは、「本歌の井戸茶碗がそこにあるという感覚」、そして「いわゆる作家作品特有の作為や、頭で考えすぎたお茶の用途におもねったわざとらしさが、金さんの茶碗からは感じられない」と語る。特別な窯で作られた井戸茶碗は、唐物を使った書院茶から侘びた草庵でのお茶に変化していく中で、茶人の目によって選ばれ、日本に伝世した。井戸茶碗のふるさと韓国で作陶しながら、日本に伝世した背景をも知り尽くした上で作陶するからこそ、井戸茶碗の本質に迫れるのではないだろうか。森さんは、そんな金さんの作る作品を「日本の多くの人たちに知ってもらえるようにしたい」と考えている。
現代陶芸ギャラリー「窯と土」
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