新 着 情 報
げんたまんえいどう
多国籍の飲食店が軒を並べる賑やかな新大久保駅前の通りから一歩入ると、そこには昭和の風情を残す住宅地が広がっています。お茶菓子専門の店「源太」は路地に面した住宅の1階にありますが、看板ものれんもなく、目印は店頭の小さな柴折戸とつくばいだけ。営業スタイルもユニークで、菓子は週替わりの1種類のみ。すべて手作りで完全予約制です。長年の常連客も多いため、たとえばきんとん、求肥、こなしと素材を替え、前の週との重複を避ける工夫をしています。季節の花や行事をテーマにした上生菓子のほか、7月に登場する木箱入りの「水羊羹」も定評があります。
創業は昭和42年(1967)。初代の源田萬年さんは福井から上京して白金の「みのわ」で修業後、ここ百人町に店を構えました。茶道の先生方との交流を通じて茶の湯菓子を専門とするようになり、50年以上にわたって茶人の心に響く菓子を作りつづけ、昨年81歳で亡くなりました。今は、父の背中をみて育ち、技を受け継いだ息子の恒房さんが一人で作っています。「変わったことはせず、難しいことをしようと思わず、あたりまえの菓子をあたりまえに作っています」と物静かな若い当主は話します。
小ぢんまりとした店内。暖簾の奥が工房です。
2月最終の週の菓子は「福梅」。ふっくらとやわらかな形と色から春を迎えた喜びが伝わってくるようです。菓子は1個370円(税別)~で6個から受け付けています。2~3日前までに電話で予約してください。
父・萬年さんが構えた店は、今の店より少し駅に近い場所にありました。店内には旧店舗の写真が飾られています。
和菓子の代わりにショーケースにおさまるのは、先代・市川左團次作の黒楽茶碗「源太」。開店する際、父・萬年さんが茶道の先生から譲ってもらったそうです。
住所 | 東京都新宿区百人町2-14-3 |
TEL | 03-3368-0826 |
営業時間 | (随時変更あり) |
定休日 | 日祝 不定休あり |
アクセス | JR「新大久保駅」から徒歩3分 |